ミニの歴史の始まりともいえるモーリス・ミニマイナーとオースチン・セブン。
製造から60年近くが経とうとしている車にも関わらず未だに根強い人気を誇るミニの起源になった伝説の2モデルです。
実はこれらのモデルの違いはバッジとエンブレムの形が違うだけなのですが、99%おなじ車にも関わらずどうして異なる名前で存在しているのでしょうか?
モーリス・ミニマイナーとオースチン・セブン
1959年8月、BMC(British Mini Corporation)から画期的なサルーンカーがデビューしました。
「大人4人が無理なく楽に乗れ、走行性能を損なわず、経済的にも優れ、快適な乗り心地を両立する夢のような車」をコンセプトに誕生したのがモーリス・ミニマイナーとオースチン・セブンでした。
ふたつのブランドから違うネーミングで発売された車ですが、これはバッジエンジニアリングと呼ばれる手法。
ディーラー網が確立しているモーリスは当時人気の高かった小型車「モーリス・マイナー」の名前を受け継ぐかたちでモーリス・ミニマイナーと名付けられました。
ブランドネームで勝負できるオースチンセブンは、戦後の大ヒット策の名前をそのまま受け継いでオースチン・セブンと名付けられました。
モーリス・ミニマイナーとオースチン・セブンの違い
発売されたブランドが違う以外にこの2車には見た目の違いが2つ存在しています。
1. バッジ
まず違いの1つ目はバッジ。
ミニのバッジはボンネット正面に取り付けられていますが、バッジの形が両車で異なります。
まずこちらはモーリス・ミニマイナーのバッジ。
真ん中の丸い形の中に MORRIS という刻印があり、その左右に伸びた一本線が特徴のエンブレムです。
対してこちらはオースチン・セブンのエンブレム。
かっこいい紋章の下に Austin の文字があり、モーリス・ミニマイナーと比べるとコンパクトにまとまった高級感あふれるエンブレムです。
それぞれのエンブレムに名称が記載されているのでエンブレムを見ただけで車種が違うということがわかります。
2. グリル
2つ目の違いはグリルの形状です。
グリルとはミニ正面にある金網の箇所のこと。
ミニの顔ともいえる重要なパーツです。この形が微妙に異なっているのです。
まずモーリス・ミニマイナーのグリルは下の写真のように横10本、縦7本の細かい格子デザインをしています。
グリル上縁のモールは中国人のヒゲのように左右ウインカー下まで伸びていてナマズヒゲとも呼ばれます。
50年代アメ車のファッションをごく控えめに取り入れた雰囲気を出しているのが特徴。
それに対して下の写真はオースチン・セブンのグリル。
9本の波打った横バーは歴代ミニの中でもめかしこんだ装飾的なデザインをしています。
ガラス製ウインカーもこの頃の特徴。
これら以外でモーリス・ミニマイナーとオースチン・セブンの大きな違いはありません。
エンジンは848ccの水冷直列型、ラバーコーン式のサスペンションユニット、ゴーカートのような操作性は全く同じです。